木曽駒ケ岳は中央アルプスの中でも中心的な存在であり、
標高は3000mにはあとわずかに届かないが2956mもの高さを誇る。
山頂周囲にはかつての氷河時代の名残である圏谷(カール)があり、
氷河によって削り取られた荒々しい岩肌があちこちに露出している。
今回はそんなカールを滑ることの出来る絶好のチャンス。
GW前後は雪質もザラメ雪となるが、
このザラメ雪は条件が揃えば結構滑りやすい雪なのである。
5月7日、PM11:00
名神吹田SAに集まったのは、かつおさん、トンカツ大王さん、そして私の3名。
今回はトンカツさんの超快適キャンピングカーに同乗させていただき、
片道350kmの深夜ドライブ。中央道・駒ヶ根ICを目指して走る。
翌5月8日、AM3:30
中央アルプス観光の菅の台バスセンターに到着。
一般車両はここからは通行禁止なので、バスに乗り換えのである。
AM7:12 本日の始発バスに集まってきた乗客のほとんどは
登山、スキー、スノーボードを持った人ばかり50人以上。
1台のバスでは乗り切れず、すぐに臨時バスが増発されたようだ。
バス待ちの間も、楽しそうな話声が聞えてくる。
バスはいきなり狭い山道を登っていく。
道路幅はバス1台通るのが一杯で、一般車両が通行止なのもうなずける。
そんな山道をバスの運転手は連続するヘアピンカーブを勢いよく曲がっていく。
バスに揺られること40分。標高1662mのしらび平到着。
これで一気に標高差812mを上がってきた。
すぐにロープウェイに乗り換え、始発AM8:00の便に乗り込む。
ここから山頂駅までは7分30秒。一気に標高2612mの別世界へ到着である。
ロープウェイ山頂駅は日本最高所にある駅だそうで、森林限界を超えた
絶景がそこからは望めるはず・・・だったが、見上げる先は真っ白。
ロープウェイ内にはため息が漏れていた。
山頂駅で下りて、登山届けを提出。
山岳補導員に雪の状況や我々が行くコースの状況注意点のアドバイスを受ける。
この時期、千畳敷周辺には山岳補導員なるボランティアの方達がおり、
色んなアドバイスや装備に対するチェックを行い、山の安全を守ってくれているのである。
折りしも、映画「岳」が公開になったばかりであり、
彼らの山に対する想いが感じられるのであった。
ここ千畳敷はロープウェイで容易に標高2600mまで来れるので、
安易な装備でやってくる登山客もいるようで、
そんな彼らに注意を促すのである。
この時期、アイゼン&ピッケルを持たない者は稜線近くまでは行ってはいけないのである。
山頂駅を出ると、やはりガスっている。
時折、ガスの晴れ間から宝剣岳辺りが姿を見せるが、瞬く間にガスに消える。
スキーブーツにアイゼンを装着、ザックにはピッケルも装備しているが、
最初は勾配も緩いので、ストックにて登ることに。
他の皆さんも準備に余念がないようだ。
AM8:40 準備も整い、出発。
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今回のコースはこちら。
青ラインがハイクアップ、赤ラインがスキー&ボード滑降である。
先ずは千畳敷カールの北側の八丁坂を登り、乗越浄土へ向かう。
カールの底にはTバーリフトもあり、登攀道具を持たないスキー&ボードは
ここで滑ることが出来る。
登攀道具を持った我々はアイゼンを雪面に効かせ、ザクザクと斜面を登っていく。
次第に勾配もきつくなってきた。千畳敷ホテルもだいぶ遠くに見える。
同じロープウェイの便で来た人たちの列が連なる。
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photo by katsuo-san
中にはシール&クトーを装備したスキーで登ってくる人も。
登り出して40分、オットセイ岩と呼ばれる辺りで小休止。
ここでストックからピッケルに装備を変える。
斜面が急になるとストックでは役に立たずで、滑落停止も出来ない。
斜度は35度を越えてきた。気温は0度ちょうどくらいか。
思ったよりも雪面は凍結しておらず、ピッケルが雪面によく刺さる。
これがもし凍結していればかなりの苦労と恐怖を感じたことだろう。
photo by katsuo-san
AM9:40 乗越浄土着。
稜線に出たとたん、吹き荒れる強風。
担いでいるスキー&スノーボードが大きく風に煽られるのを
耐風姿勢で持ちこたえる。
ただでさえ、標高3000m近いので呼吸が苦しいのに、強風によりさらに苦しい。
目の前は相変わらず、真っ白で完全なホワイトアウト状態・・・・
続く・・・・
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