バックカントリーをもっと滑りたいけれど、本格的なエリアへはとても一人では行けない。
バックカントリー初心者の私が安心して楽しもうと思ったらどうするべきか・・・・
ということで、今回は「
POWER ZONE」さんのツアーに申し込んだのであった。
すでに昨年、野伏ヶ岳を経験済の
かつおさんもお誘いして、一緒に野伏ヶ岳を滑ろうというのである。
3月6日、名神高速吹田SAにAM1:00集合。下り車線のSAに車を停めたかつおさんの
荷物を私の車に積み替え、出発。
夜の高速をゆっくりとしたペースで走るが、それでも快適な流れで予定よりも早く、
東海北陸道・白鳥ICを下りる。
国道156号から石徹白方面への峠越えは路面に雪もなく、スムーズに通過。
ツアーの待ち合わせ場所でもある白山中居神社にはAM4:30到着。
ツアーはAM7:00集合なので、AM6:00まで仮眠をとるが
これからのことを思うとほとんど寝れない。
AM7:00 準備を整え、出発準備完了。
かつおさんも万全のようです。
そこへ本日のガイドであるPOWER ZONEの石井さんも到着。
ガッツリとした体格でパワーがありそうだ。
我々の他には3名の参加者。
愛知からの男性2名+女性1名のスノーボーダーの方達でした。
同行のかつおさんもボーダー。
ガイドの石井さんもボーダー。
スキーでの参加は私一人だ。
それぞれ自己紹介を済ませ、AM7:15 山頂へ向けてハイクアップに出発。
神社近くの橋からは遠く野伏ヶ岳の山頂がわずかに望める。
今日のハイクアップのルートは、牧場跡までの林道を歩き、
山頂から南東方面に伸びる通称「ダイレクト尾根」と呼ばれる尾根を登って行く。
白山中居神社の標高729m、山頂標高1674mなので、その標高差は945m。
最初は林道を登っていくのでゆっくりとした勾配で標高を稼いでいくのだが、
ダイレクト尾根取り付きからは550mの標高差を一気に登らなければいけない。
林道の入口でボーダーの方はスノーシューを、私はシールを装着したスキーを履く。
そして、ガイド・石井さんとビーコンのチェック。
ここからはバックカントリーの世界だ。
時折、林道をショートカットしながら進む。
ただ、急な斜面ではシール登行が辛いこともあり、
そんな時は林道を歩きます。
林道を歩くこと1時間30分。
突然視界が開け、目の前には野伏ヶ岳の雄姿が。
正面やや右にそびえているが野伏ヶ岳山頂。
そこから左手に伸びているのがダイレクト尾根。そして右手が北東尾根。
空は雲が一面を占めていますが、まだ山頂付近はガスに覆われてはいない様子。
天候は下り坂なので、何とか持ってくれよ~
後ろを振り返ると大日ヶ岳。
ここは昔は牧場だったところ。
冬のこの時期は一面の雪原が広がり、なんとも美しい。
青空の下であったのならきっとその美しさは数倍以上なんだろうなぁ~
木立の中にはテントが張ってあったり、吹き溜まりの斜面に雪洞を掘って
一夜を過ごした方もおるようだ。
きっと昨日の晩は満天の星が望めたんだろうね。
広い雪面には先行していた山スキーヤーやスノーシュートレッキングの方の姿もあり、
そして遠くダイレクト尾根の頂上近くには登山らしき数名の姿も。
あそこから滑るんだと思うと、その斜面の迫力に緊張する。
牧場跡を南寄りに進み、ダイレクト尾根取り付きやってきた。
ここからは小手調べのごとく、100mほどの急斜面の登り。
スノーシュー隊は階段状になったトレースをスムーズに登っていく。
しかし、シールを付けた私は表面が固くなった雪面を直登出来ないので、
キックターンを繰り返しながら斜面をトラバースしていく。
固い雪面にはスキーのエッジしか食い込まず、シールが効かない。
踏ん張っているストックの力を抜くと後ろへと下がってしまう。
前へ進もうと踏ん張り、足にも腕にも力が入る。思わぬ体力を消費だ。
皆に少し遅れて、なんとか稜線へ上がる。
ガイド・石井さんによればこれから先も3箇所ほど勾配が
きつい箇所があるそうだ。
稜線沿いの斜面はさらに固くなった雪面が上まで続いており、
クトー(スキーアイゼン)を持たない私にはキックターンを繰り返しながら
登るもなかなか前へ進めない。
結局、最初の急勾配の箇所でシール登行を断念。
スキーブーツにアイゼンを装着し、スキーをザックにくくりつける。
ザックの重量は一気に5kg増え、15kgほどに。
ブーツは山スキー用じゃないので、足首が曲がらずアイゼンを装着した状態での
急斜面の登りは辛い。
ほとんど前爪だけを利かせて踵を上げた状態で登らなければならない。
バランスが取りづらい。スキーを担いでいるからなおさらだ。
次第に列から遅れだす。
きっとクトーがあればもう少し急斜面を登って行くことも出来たんだろうな。
山スキー用のブーツならもう少し足首が楽なんだろうな。
来シーズンへの課題です。
ダイレクト尾根取り付きから2時間余り、思ったよりも苦労したが、
何とか野伏ヶ岳山頂1674mに到着です。
時刻は11:30 神社からは4時間15分ほどの行程であった。
しかし、着いたと同時に山頂付近はガスに覆われてきた。
ほとんど視界は利かない。
ガイド・石井さんより「しばらくガスが晴れるまで待ちましょう~」
その間に石井さんは今日はどのコースが一番いい状態か調査へと行く。
ガスがなかなか晴れない。
戻ってきた石井さんから、ガス晴れ待ちの間にランチにしましょうとのこと。
今日はザックの軽量化を図るためコンロを入れてこなかった。
サーモス・山専800にはまだ熱い湯が入っている。
寒い山頂でのわずかばかりのカップラーメンの幸せ。
腹ごしらえを終え、滑りの準備を急いで行う。
待ちに待った最高の瞬間がやってくる。
ヘルメットを被り、ゴーグルを着ける。
その瞬間から一気にテンションが上がりだす。
同じく準備を進めている他の皆の緊張感も伝わってくるようだ。
ダイレクト尾根と北東尾根とのジャンクションポイントまで一旦滑り降りる。
まだ辺りはガスに包まれたままだ。
平行感覚まで奪われる。
北東尾根の雪の状態が悪ければ、登ってきたダイレクト尾根を
滑り降りていくことも考えられた。
しかし、ダイレクト尾根沿いはカリカリの斜面。
やはりパウダーはもうどこにも残っていないか・・・・残念!!
と思っていたが、ガイド・石井さんはもう少し北東尾根を降りて
雪の状態をみましょうとのこと。
最初はカリカリの斜面だったのが、急にいい感じの雪質に変わっている。
石井さんの予想通り北東斜面は陽が当たり憎く、吹きだまりの箇所もあり、
雪の状態はいい感じだ。
さっそく石井さんがショベルで雪面を掘り出す。
「弱層もそれほどでなく、結合状態もまずまずのようですね。」
すると、いままで50m先も見えなった視界が急速に晴れていき、
なんと東側の大日ヶ岳周辺の山々までもがはっきりと見えてきたではないか。
「ラッキー!!」
空はまだ曇ったままだったが、これ以上の贅沢は言えまい。
むしろ先程までの状況を考えると最高のコンディションだ。
待ちに待ったドロップインの瞬間!!
でも、続きはvol.2をお楽しみに~
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