今年の夏山はどこへ行こうかと考えていた。
仕事の都合もあり、昨年みたいに仲間と一緒には行けないだろうなぁ~っと
予想されたことから、単独での山行に焦点を絞っていたのであった。
「単独行縦走」
やはりこの言葉に惹かれる。
北アルプスの稜線を長い時間を掛けて、じっくりと歩いてみたい。
しかし現実を考えると4日以上の休暇を取るのは無理だ。
ならば2泊3日で歩ける縦走コースをいくつかピックアップしてみた。
候補に挙がったのは、
1.立山・室堂~五色ヶ原~薬師岳~太郎平~折立
高校山岳部時代に行った五色ヶ原。
あの時は台風接近によりやむなくここで引き返したのであった。
(当時の計画は確か1と2のコースを4泊5日で縦走するはずだった)。
五色ヶ原をもう一度あそこを訪れてみたい。
そして薬師岳のカールを見てみたい。
しかし、このコースを3日で歩くには2日目が10時間を越す行動時間。
五色ヶ原を過ぎるとエスケープルートはない。
2.蝶ヶ岳~常念岳~燕岳
この稜線から眺める穂高連峰~槍ヶ岳は最高だろうなぁ。
でも人気ルートなのできっと人も多いことだろう。
やっぱりのんびりと風景を楽しみたい。
3.折立~太郎平~黒部五郎岳~三俣蓮華岳~双六岳~新穂高温泉
黒部五郎岳には薬師岳にも負けないカールがある。
氷河という言葉に惹かれる私の心に引っ掛かるものがあった。
そしてその稜線からは雲の平が常に左手に眺めることができる。
さらに進むべき方向には常に槍ヶ岳が見えるだろう。
悩んだ末、下した結論は3の黒部五郎岳縦走コース。
やはり惹かれたのはカール地形の中を歩いて行けるということ。
太古の氷河時代に思いを馳せて、氷河が造り出した景観を感じてみたいと思った。
しかし、3のコースでも2日目はコースタイムで9時間50分歩かなければならない。
3日目も8時間30分あり、この日は1750mの下りがメイン。
そのためにはザックの重量を極力減らすことに重点を置いた。
デジイチ用の三脚は捨てた。コンンデジ用のミニ三脚で代用だ。
テントのグランドシートも省略。アルミクッカーも大と小のセットだが、
ドライフーズのお湯を沸かすだけなので、大は捨てた。
20kg以下に抑えれば何とか今の自分でもこの距離、時間を歩けるだろうか。
膝痛にはサポートタイツ。こいつの効果は先日の伊吹山や弥山川で実証済だ。
夕食と朝食はドライフーズのみ。
その代わり行動食はいろいろと取り揃えた。
ドライフルーツ、ナッツ類のトレイルミックス、ブドウ糖の錠剤、アミノバイタルなど。
これで準備万端だ。
今回は移動手段は、単独行縦走ということであり交通機関を利用することに。
「さわやか信州号」で大阪~有峰口まで行き、そこから富山地鉄バスに乗り換えて
折立へ行こうという計画なのである。
今まではマイカー利用だったので、初日の睡眠不足がどうしてもネックだったが、
今回はバスということで、少しは寝れることだろう。
迎えた8月2日夜
22:00の新大阪駅
南口には溢れんばかりの人、ひと、ヒト・・・
色んなツアーがここから出発しているようで、
野外フェスなどに参加する若い人達が列をなしていたのであった。
乗り込んだバスは4列シート。
3列シートの高速バスとは違い、かなりの窮屈が予想されるが、
マイカーよりは目を瞑っていられるだけでも大きく違うだろう。
北陸道を快調に爆走する「さわやか信州号」
見事なまでのタイムスケジュールで定刻通りに有峰口5:30着。
バスを降り、地鉄バスを待っていると、盛んに勧誘してくるタクシーの運転手。
「立山への送迎の帰りなので、折立まで¥10,000ちょっとで行くよ~」
同じバスで乗ってきた若いカップルと想いが一致、3人でタクシーに乗車!!
地鉄バスなら¥2,400、タクシーで¥3,500と割高だが、窮屈なバスにちょっと疲れた私。
やっぱりタクシーはいいねぇ~
有峰口を出発してすぐに有峰林道のゲート。
開門のAM6:00まで、しばしの時間待ち。
ゲートが開き、30分ほどで折立に到着。
ここには前日からのマイカーが多数停まっていた。
折立には無人の小屋とトイレ、自販機があるのみ。
登山届もここでは出さずに太郎平にて提出するようにとの張り紙が。
入念にストレッチを行い、
AM7:10 折立出発です。
今回のコースはこちら
最初は樹林帯を登っていくが、曇りがちの天候のお蔭で
あまり暑さを感じず、いいペースで登っていける。
折立から太郎平までの「山と高原地図」でのコースタイムでは5時間ちょうど。
樹林帯を抜け、次第にあたりは草原へと変わっていく。
ニッコウキスゲの群生だ。
雲を抜けたのか、急に青空が広がってきた。
五光岩ベンチに着くと・・・・
目の前に薬師岳の雄姿が突然見えてきた!!
快適なルートを登っていく。このあたりからは勾配も緩くなってくる。
そしてSUUNTOの高度計が2300mに近づく頃、前方に太郎平小屋が見えた。
さらに大きく迫る薬師岳。
AM10:35 太郎平小屋到着。
なんと5時間のコースタイムを3時間25分で登ってきたようだ。
道理で太ももがちょっとヒクヒクしてするわけだ。ちょっとオーバーペースを反省。
明日からは長丁場の歩きがあるから無理は禁物だ。
北には薬師岳
東には黒部五郎岳
太郎平小屋
ここは薬師岳、雲の平、黒部五郎岳、そして折立と登山者たちが交差する重要な小屋だ
ビールが上手い!!
小屋周辺から眺める薬師岳
こちらのご夫婦が
「ここから槍ヶ岳が見えるよ~!!」
って教えてくれた。
ワオァ~ 感激!!
三俣蓮華岳の肩から穂先を覗かせる槍。
薬師峠キャンプ場へ。
このキャンプ場はバイオトイレがあり、水場も流し放しの状態。
午後2時になると小さな小屋でキャンプの受付を行いに来てくれて、
なんとそこにはビールやジュースも売っているではないですか。
サイトからは黒部五郎岳も見え、最高のテント場です。
夕食後、周辺を散策。
木道の向こうに広がる夏雲
夕焼けに染まるチングルマの果穂
穏やかな時間が流れる太郎平です
明日はいよいよ縦走開始だ。
PM8:00には撃沈です お休みなさい~
vol.3へとつづく~
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